Amazonが「Transformer」というコードネームでスマートフォンを開発中だという報道が出てきました。

まだ開発初期段階で中止になる可能性もある、とReuters報道では断り書きがあります。ただ、この話の本質は「スマホを出すかどうか」ではなく、「Amazonが購買体験の入り口ごと自分たちで握ろうとしている」という戦略にあると思っていて、それはスマホの成否に関係なく続く流れだと感じています。

AmazonはなぜいまスマホをAIで作り直そうとしているのか

今回の「Transformer」で注目したいのは、設計思想です。従来のアプリストア型の操作ではなく、「AIにやりたいことを伝えれば実行してくれる」というLight Phone的な発想。Alexa+(生成AI版Alexa)とAmazonショッピングを端末レベルで統合することで、ユーザーが「なんか買いたい」と思った瞬間にAmazonがその場にいられる状態を作ろうとしています。

2014年のFire Phoneは「スマホ市場で競合と戦う」発想でした。今回は「ショッピング体験ごと設計する端末」という発想。Amazonのデバイス部門が過去4年で25億ドルの損失を抱えながらも続けているのは、それだけ「入り口を握ることの価値」を重視しているからだと思います。

日本のECセラーとして今すべきこと

Amazonが購買の起点を端末レベルで設計できるようになると、プラットフォーム外への流入は相対的に減っていきます。ここから逆算すると、いまやっておくべきことが見えてきます。

Amazonへの最適化を徹底する。商品ページのクオリティ、レビュー数、広告の使い方——Alexa+が提案する候補として選ばれるためには、Amazon内での評価が土台になります。「Amazonに出しているだけ」ではなく、積極的に最適化する姿勢が求められます。

Amazonの外に顧客接点を作る。メールリスト、SNSフォロワー、自社ECへの誘導。Amazonのアルゴリズムや端末設計に影響されない場所でお客さんと直接つながる仕組みを今のうちに育てておくことが、長期的な保険になります。

自社のブランドを育てる。AIが購買提案をする時代に、選ばれる理由が「安い」だけでは価格競争に巻き込まれます。「この店から買いたい」と思ってもらえるブランドが、プラットフォーム依存を弱める一番の武器になります。

Amazonの動きは業界の地図を塗り替えつつある

Fire Phoneの失敗を経て、それでも端末に再挑戦する理由がある。Amazonが「ECの入り口」を自社の手に収めようとしている意志は、一貫しています。

私たちが今できることは、その流れを把握したうえで「Amazon内での戦い方」と「Amazonに依存しすぎない体制づくり」の両方を同時に進めることだと思います。今回のニュースは、その判断を改めて問いかけてきているように感じました。

← ブログ一覧に戻る