先月「AmazonとUSPSの配送契約が決裂」というニュースをお伝えしましたが、あれから動きがありました。結論から言うと、両者は妥結して、USPS経由の配送量を20%削減する新契約を結んだんですよね。
「3分の2減らす」と脅していたのが20%に落ち着いたんだから、USPSとしてはひとまず安堵といったところでしょうか。でも、この妥結の背景には読み応えのある駆け引きがありました。
USPSが一度交渉を降りた理由
昨年12月、USPSは交渉を突然打ち切って、ラストマイル配送の入札プロセスを新たに始めました。Amazonにとっては寝耳に水だったそうです。「取引量を増やしたかったのに」とAmazonは公式にコメントしています。
これはUSPS側の読みだったんでしょうね。Amazonの配送ボリュームを代替できる事業者がいれば、USPSよりも有利な条件を引き出せる。でも現実は、Amazonの荷物量(USPS全体の15%、年間約60億ドル)を引き受けるだけの事業者はいませんでした。結局、USPSは再び交渉のテーブルに戻ってきたというわけです。
20%削減でも痛い
妥結とはいえ、20%の削減はUSPSに10億ドル以上の収益減をもたらします。Amazonはその分を自社配送網でカバーしていく方針で、ここ数年で配送センター、独自トラック、航空貨物まで自前で整備してきています。
先月の記事でも書きましたが、この流れは「配送という顧客体験の最後の1マイルを自社コントロール下に置く戦略」なんですよね。契約が決裂しようが妥結しようが、Amazonの内製化の方向は変わっていない。
この一件で見える「交渉力の構造」
個人的に面白かったのは、この交渉劇から見える力関係です。Amazonは「3分の2減らす」と脅してUSPSに揺さぶりをかけた。USPSは一度降りて入札で代替を探したが見つからず、戻ってきた。結局、圧倒的なボリュームを持つ側が交渉をリードするという、ECの世界でもよくある構造がそのまま出ていると思います。
中小EC事業者も同じような状況に置かれることはありますよね。配送会社の値上げ、プラットフォームの条件変更——いつ「3分の2減らす」と言われるか分からない。だからこそ、複数の選択肢を持っておくこと、データを自社で握っておくことが大事なんだと思います。
(※2026年3月21日の「AmazonとUSPSの物流契約決裂」記事のアップデートとして執筆しました)
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