最近、「SaaSのUIに価値がなくなっている」という話題をよく見かけるようになりました。
半年前はまだ「AIがSaaSを変える」くらいのトーンだったんですが、2025年末あたりから論調が少し変わってきた気がします。「UIが競争優位ではなくなる」「SaaSはAPIに成り下がる」——そういう言い方をする記事が明らかに増えています。
きっかけはナデラ発言とHacker Newsの議論
直接のきっかけのひとつは、MicrosoftのCEO サティア・ナデラが2024年12月にポッドキャスト「BG2」で発した一言です。「SaaS is dead.」この発言が業界に波紋を広げて、いろんな論者が反応し始めました。
それと前後して、エンジニアのStephen Coynerが「AIエージェントが当たり前になったら、SaaSはどうなるか」という考察文書を書いて、Hacker Newsで話題になりました。主張はシンプルで、「AIエージェントはUIの美しさを気にしない」という話なんですよね。
人間がSaaSを使うとき、操作性の良さや画面のわかりやすさが価値になります。でもエージェントがAPIを直接叩くようになれば、UIはただの飾りになる——という論理です。L40°の分析も同じ方向で、「エージェントがAPIでバックエンドを操作できるなら、UIはオプションになる」と整理しています。
3000億ドルが吹き飛ぶという試算まで出てきた
remio.aiが出した記事のタイトルが「SaaS-pocalypse 2026」。AIエージェントの台頭によってSaaS市場から3000億ドル規模の価値が失われるという試算です。
煽り気味のタイトルではあるんですが、言っていることはわかります。従来のSaaSが持っていた参入障壁——学習コスト、使い慣れた画面、操作の習慣——をエージェントが無意味にしてしまうという話ですよね。
課金モデルも変わるらしい
IDCが2025年12月に出したレポートは、もう少し落ち着いた分析をしています。「SaaSが死ぬ」ではなく、「ビジネスモデルが変わる」という見方です。
2028年までに、ユーザー数かける月額というシートベース課金が70%のベンダーで成立しなくなる——という予測を出しています。AIが人間の代わりに操作するなら、席の数ではなく、こなしたタスクの数で課金するべきだという発想ですね。確かにそれは筋が通っていると思います。
自分の感覚とも合っています
正直、この話は肌感覚としてわかる部分があります。
最近、仕事でAIツールを使う場面が増えてから、「このツールのUIが好き」と感じる機会が減った気がしています。CLIやAPIで操作したり、AIに指示を出して処理させたりすることが増えると、画面の洗練度がだんだん気にならなくなってくるんですよね。
「このSaaS、UIが使いにくいな」という不満が、「エージェントに頼めばいいか」という発想に置き換わっていく感覚——それが少しずつ現実になっているんだと思います。
で、SaaSはどうなるのか
「SaaSは死なない。バックエンドのインフラに変わる」というのが今のところ有力な見方です。UIを持つアプリではなく、AIが叩くAPIとして再定義される、ということですね。
まだ数年先の話ではあると思いますが、この論調が増えているのは確かで、少し前と空気が変わってきた感じがします。SaaSビジネスをやっている方には、結構シビアな話になるかもしれません。
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